人の一生の振り返りカード

このゲームでは,図のようなカードを用います.円は,その人の一生を表していますが,これは普通のカードとは少し違います.その円の中には,0.2ミリメートル程度の突起が配置されています.それぞれのポイントが,一生におけるある一時点を表してます.つまようじでボンドを少しだけつけ,それをカードの表面に点状に配置したものと思って下さい.

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① 生まれる瞬間に向かう触知的思考
下方の矢印から指を上方に動かすと円の中に入ります.生まれる瞬間です.出発点=出生から終着点=死に向かって人生を生きるとは,下方から上方に向けて円を縦断するように指を動かすことに当たります.

② 若者の時代と触知的思考
円の内側「下から4分の一」あたりに指を置いてください.「下から4分の一」は20歳前後,学生時代に相当します.学生はこの位置にいて,公衆衛生学を学んでいます.各分野を学ぶ一方で,学んだことを全体の中に位置付けることが大切です.

③ 壮年期・高齢期と触知的思考
さらに指先を上方に動かし,円の内側「上から4分の一」あたりで指先を止めてください.今,指がある位置が,壮年期・初老期の人々が辿り着いている人生の位置です.学生たちよりも長く生き,多様な人生経験を持つ人が到達する位置です.それまでの人生を振り返り「以前の子育て,家庭や社会の様子,環境・職業・生活の様子,疾病や医療の体験,介護etc.」を語ることが可能です.この位置まで指を動かしながら,あなたの人生における時間の流れを感じ,また予想してみてください.

④ 人生の出発点と終着点での問題への触知的思考
再び下方の矢印を探し,そこから点線を越えて円の中に入る所,生まれる所で,指を止めてください.ここでは少子化などの問題が起きています.妊娠や出産が減り,下からの矢印が小さくなり過ぎると,社会は滅びます.矢印の流れをある大きさに保つことで,明日に向けて社会を継承し,更新発展させることができます.
今度は円の上端,上方の矢印近くまで指を動かしてください.わが国の高齢化が進むにつれ,円の上端部分で多くの問題が生じています.円を抜け出るまで,健康で豊かな人生が送れるならよいのですが,高齢になるにつれて,介護から年金まで多くの問題が生じています.どのように円から抜け出るか,死をどう迎えるかも難しい問題です.あなたの場合は?,またあなたの周囲にいる人々は,この位置まで指を動かしたとき,何を思いうかべるでしょうか.

⑤ 死ぬとき,そのあとへの触知的思考
通常の公衆衛生活動は円の中,生きている期間が対象です.しかし死に近づいても安心して生きるためには,円を抜け出る所,死を迎える所で思考停止せず,考え続けることも意味があります.では円の外は存在するのでしょうか.あなたが信じる宗教があれば,それに沿って考えてください.
キリスト教であれば,死んだら天国に行きたいと願うでしょうが,円の外,輪廻転生などは信じていないと思います.しかし皆様の中には輪廻転生を信じている方も多いでしょう.輪廻転生するのであれば,この円の外に,矢印の先に指を動かすと,別な円/世界を触れるかもしれません.あるいは,この世界と並行する別な世界,多元的な宇宙に触れることになるでしょうか.あるいは輪廻転生とは,再度,最初の矢印に戻り,同じ円の中に入りなおすことなのでしょうか.

要するに,0.2ミリメートルという極微小な段差であっても,指先で触れることで,そこがツルツルしたフラットな連続面ではなく,そこに「段差,格差/断絶/不連続など」を実感できます.